親愛なるコーチ様
この手紙は、私、横山みどりから、私のコーチに宛てた手紙です。
コーチにも、コーチがいるのです。
親愛なるコーチ様
前略
いつもコーチングをしていただいて、ありがとうございます。
今日は最近あったある出来事から、「やっぱりコーチングっていいな!」と感じた事がありましたので、お手紙させていただきます。
そう!やはりコーチングは
「相手に、今、見えている以上の能力を開花させてしまう関わり方」
だったのです。
というのも、先日母の81歳のお誕生日を祝いました、当日我が家には若い女性が5人来てくださって、夜12時近くまで盛り上がりました。
彼女達はコーチングを学んでいますがコーチではなくそれぞれのフィールドでコーチングマインド&スキルを活かして輝いている人たちです。
母は81歳といってもまだ近場なら一人でどこへでも行けますし、多少遠くなった耳とひざの関節痛以外はいたって元気です。それでも去年夫を亡くし友達もいないので、一人暮らしでどんどん世界が狭くなっています。
ところがこの日は来てくれた女性たちが母に興味を持ってくれて、素朴な質問をしてくれたのです。
「80年は速かったですか?」
「いつごろが速く感じていつごろが遅く感じましたか?」
「どんなOLだったんですか?」
これは経験した人にしか聞けないからと言って、みんな真剣に耳をかたむけてくれました。
また彼女たちは、母の趣味である刺繍や和紙人形作りについても、好奇心を持って色々質問してくれました。またその上、母のペースに合わせて、ゆっくりはっきりとした口調で話し相手になってくれたのです。
宴は12時近くまで盛り上がりましたが、母は最期まで付き合い、笑顔でみんなの話題に加わっていました。
翌日は少し疲れたと言いながも、「来てくれた人たちに、クリスマスまでにお礼の手芸品を作るわ」とはりきっていました。「もう一泊していったら?」と勧める私に、「やることがたくさんあるから!」と来た時より軽く速い足取りで帰っていきました。
よっぽどみんなの関わり方が嬉しかったのでしょうね。彼女たちが母を81歳のおばあさんとしてではなく、人生の先輩女性として、聞いてくれたいろんな質問、また「もう81歳」ではなく「まだ81歳」、これからどんなふうにしたいですか。と関わってくれたその感覚は存在承認そのものだったのだと思います。
相手を「できる」存在と捕らえることがいかに重要か、日頃セミナーや講演で話している私が、最も身近な母の可能性をできない存在と捉えていたなと、とても恥ずかしくなりました。
そうして、母を元気にしてくれ、また「コーチングの可能性」を再確認する機会をくれた彼女たちは、私の大切な財産だと心から感じました。
そんな彼女たちと一緒に、身近な人たちが元気になっていくお手伝いをしていきたいと思っています。
このような私ですが、コーチとして、人として、娘として、このようないい出会いに恵まれていることに感謝しつつ、近況報告のお手紙とさせていただきます。
朝晩めっきり冷え込んでまいりました。どうかコーチもお体を大切に、そして秋を存分に楽しんでください。
草々
2004/10/14
横山みどり